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archiveつかstorage 恥の極み
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  【先約だから】


「今日、スープカレー、どうする?」

「ん。でもお前、今日ラストまででしょ?俺、早あっがり~♪」

「くそー嬉しそうにしやがってーっ!(笑)」

「いいよ。連絡ちょうだい、どっかで時間つぶしとく。一回家帰るかもしんないけど…」

「わかった。」

「じゃ、午後も」

「お仕事」

「「頑張りましょ」」

2人は指導員の群れに混ざっていった。



その様子を、階上から櫻井がじっと見ていた。

今日のあの二人はシフトがずれていた。

ということは、終わる時間も同じようにずれているはず…

意を決して携帯を取り出すと、慎重にメールを打ち始めた。

当然勤務中は不携帯らしいので、読んでもらえるのは仕事が終わるころ…

思い切って外で会えないかどうか、誘ってみることにした。

(せっかく一日休暇取ったんだから…せっかく大野さんときっかけができたんだから…)

こういうことに熱心なほうではないはずなのに、積極的な自分に驚きつつ。

けれど指が震えるのを押さえつつ。

慎重に慎重に考えながら、メールを打った。



「おつかれー」

「大野、早上がり?」

「おぅ♪おれ、朝一から働いてるもんね~♪

わりいね(笑)おっ先~!」

周囲の同僚に挨拶を返しながら、大野は仕事を終えた。

着替えを済ませて携帯を手に取ると、櫻井からのメールが届いている。

「……はやっ」

今日の今日に連絡が来るとは思わず、

けれどそれをなんだか微笑ましく感じている自分に戸惑いつつ、メールを開いた。


『大野さん。櫻井翔です。お言葉に甘えて早速メールをしました。

もしお時間がよろしければ、今日お仕事終わりに食事でもいかがでしょうか?

お返事お待ちしております。櫻井』

「ふふ…真面目かっ」

そっか…大学院だもんな…

真面目なはずだ(若干視点が違う)

大野は変なところを感心しながら、少し悩んだ。

今日は松本と一緒にスープカレーを食べに行く約束をしている。

(やっぱ、それはスープカレー優先だよな)

少し考えて、返信を打ち始めた。


『大野です。約束があるのでご飯はいけないけど、それまでの時間でよければ空いてるので。こないだ降ろしたロータリーでどうですか?智』


うっかり普段の習慣で、『智』と署名して送信した。

その事が不必要なまでに櫻井を舞い上がらせているとは知らずに。
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HN:
tororo
性別:
非公開
tororoが某所で書いていたお話を移築。誤字・変換ミスの訂正や、もともと文字数制限などで割愛した箇所だけを補足しています。基本はそのまま。恥ずかしい。
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