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archiveつかstorage 恥の極み
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  【故障】


「大野」

「松本。何、呼び出したのお前なの?」

「いや?…呼び出し食らってんの?」

事務所に行くと、松本とバッタリ会った。

「ん…あの、呼び出しあったけど、何かな?」

「え?大野さん?聞いてきますねー」

どうも事務員も心当たりがないらしい。

誤作動だろうか?それとも。

「何してんの?」

「あ、うん。…ちょっと二宮に用事」

「お前が二宮に用事?!……あ~やし~…」

犬猿の仲の2人が。

まぁ、逆よりはあるかもしれないが。

「…何が」

「ぜってぇ、悪巧み」

「(苦笑)ちげぇよ」

「違わない。…って、今日いないよ?あいつ」

「なんで?」

「昼飯一緒に食ったんだけど、」

「へぇ?」

「…こないだすっぽかしたからさ、悪かったなと思って」

「(にやり)喜んだろ、あいつ」

「(苦笑)」

(人4)の様子が目に浮かんで、潤も苦笑いを浮かべた。

「午後から会社戻るって言ってた」

「へー、珍しいな?やっと仕事する気になったのか?」

「だからー」
「大野さん、誰も呼び出し打ってないけど?」

「「へ?」」

「変だな…ベル、鳴りました?」

「うん。故障かな?」

「変だなー…でももうすぐ呼び出し廃止になるんで、もうちょっと辛抱してください」

「あぁ、二宮がなんかシステム作ってたね。」

怪訝な顔をしてその場を離れた。

「…変なの」

「休憩中だった?」

「え?…あ、うん。」

別に後ろめたい事があるわけでもないのに、なんとなく櫻井に会ったことを言いたくなかった。

その時、松本の後方に櫻井が降りてきたのが目に入り、大野はとっさに並んで外へ促した。

なんとなく松本の視界に彼を入れたくなかった。



大野が降りていって、櫻井は緊張が解けるまで座り込んで放心していた。

(メール…してもいいって…)

そりゃいいから教えてくれたんだろうけどさ…

そりゃ…

「…ぅしっ!よっしゃぁー!!」

予約を取れなかったことへの疑問はとりあえず置いといて、興奮したまま階下へ降りた。

ちょうど事務所にいる大野と目があった…

と思ったとたん

すかさず隣にいるスパンコールに肩を並べて、そのまま外へ出て行った…


…今、俺に気付いたよね?

で、俺に気付かれないように…あいつが振り向かないように…

したよね?




ねぇ(人1)さん。

あなたにとって俺は、都合の悪い存在なの?

それとも


それとも……?



  【エリート】


「おー、二宮、ようやく帰ってきてたんだ(笑)」

「…」

「お前、怒られないの?あっちの仕事ばっかやっててさ?」

「関係ないでしょ」

「そんなことないよ!お前いないからさ、データ足りないって、怒られるのは営業の俺だよぉ?!」

「それが営業の仕事でしょ」

「相変わらずひでぇ~!(笑)

あ、そうだ。プロジェクトのさ、大学の関係者が今うちの教習所に通ってるよ♪」

「あっそ。」

相葉の話にまったく興味も示さず、二宮は黙々と自分の作業を続けていた。

「なんかさー学生の頃は論文とか研究発表とかで結構注目されててさ、海外行ったりしててさ

今頃免許取ろうなんて気になって進歩だ!とか言われてんだよ、翔ちゃんてばさ(笑)」

「…」

「それがさーうちの教習所だっていうから、びっくりだよね♪」

「…」

うるさいとも思わず、まったく話し声が耳に入ってない様子でパソコンに向かっている(人7)。

「教授が教えてくれたんだよねー、エリートですねーって言ったらさ

『櫻井くんは学生の頃は…』」
「…さくらい?!」

まさかの反応が返ってきたことに、一方的に喋っていた相葉が驚いた。

「…どしたの?二宮、」
「今さくらいって言った?…さっきしょうって言ったよな…櫻井翔?」

「う、うん…あれ?知り合いだったりする?」

「……」

険しい顔で腕を組んだ二宮は、すっかり自分の世界に入り込んでいた。

しばらく呆気にとられていた相葉が諦めて自分の部署に戻っていった後、

ようやく二宮が動き出した。

(ふん……どんな奴か、面見に行こうじゃないの…)

大嫌いな外出の準備を始めた。
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tororo
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tororoが某所で書いていたお話を移築。誤字・変換ミスの訂正や、もともと文字数制限などで割愛した箇所だけを補足しています。基本はそのまま。恥ずかしい。
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